税務

社長も知っておきたい、家族の収入と年末調整でよくある5つの誤解

11月に入ると、会社では年末調整の書類集めが始まります。社員の方だけでなく、役員報酬を受け取っている社長ご自身も年末調整の対象です。

今年(令和8年分)は、家族の収入に関する基準が変わりました。去年までの感覚のままだと、家族の扶養を付け忘れたり、受けられる控除を見落としたりしやすい年です。

この記事のポイント

令和8年分から、扶養に入れる家族の収入の目安は「給与収入136万円以下」になりました。19〜22歳の子は197万円以下まで控除が残ります。社長本人の所得が高いと配偶者の控除は受けられません。申告書の書き方も去年とは変わります。

誤解1 「扶養の目安は、今も103万円」

「アルバイトは103万円まで」という言葉は、今もよく耳にします。しかし、この目安は2年続けて変わっています。

令和8年分では、扶養控除の対象になる家族の合計所得金額は62万円以下です(改正前は58万円以下)。給与収入だけなら136万円以下が目安になります。

  • 令和6年分まで:給与収入103万円以下
  • 令和7年分:給与収入123万円以下
  • 令和8年分:給与収入136万円以下

配偶者控除の対象になる配偶者も、同じく給与収入136万円以下です。

誤解2 「19〜22歳の子は、超えたら控除がゼロになる」

大学生などの19歳以上23歳未満の子には、「特定親族特別控除」があります。収入が扶養の目安を超えても、すぐに控除がゼロになるわけではありません。

給与収入だけの場合、令和8年分の控除は次のようになります。

子の給与収入 使う控除 控除額
136万円以下 扶養控除(特定扶養親族) 63万円
136万円超159万円以下 特定親族特別控除 63万円
159万円超197万円以下 特定親族特別控除 61万〜3万円
197万円超 なし 0円

子の収入が197万円以下なら、親の側で何らかの控除が受けられます。「超えたからもう関係ない」と申告しないままにしていないか、確認しておきたいところです。

誤解3 「収入は年度で数える」「年齢は今の年齢で見る」

家族の収入は、1月から12月までの1年間で数えます。学年(4月〜3月)や、会社の決算期で数えるのではありません。

年齢も、その年の12月31日時点で判定します。令和8年分で19歳以上23歳未満にあたるのは、平成16年1月2日から平成20年1月1日までに生まれた人です。

  • 11月・12月にアルバイトを増やすと、年末に目安を超えることがある
  • 年末調整の時点では「見込み額」で判断するため、12月分まで含めて見積もる
  • 見込みと実際が違った場合は、あとで年末調整のやり直しや確定申告が必要になる

誤解4 「申告書は、去年と同じ書き方でいい」

今年は所得の基準が変わったため、去年と同じ書き方では足りない場合があります。

  • 新たに扶養の対象になった家族がいれば、「扶養控除等(異動)申告書」で会社に申し出る
  • 19〜22歳の子で、給与収入が136万円以下なら「扶養控除等申告書」、136万円を超えるなら「特定親族特別控除申告書」で申告する
  • 去年は特定親族特別控除の申告書に書いた子が、今年は扶養控除等申告書の側に移ることもある

あわせて、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例が、令和8年分から始まりました。一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がります(3つの区分の合計上限12万円は変わりません)。保険料控除申告書の新しい欄も見落とさないようにしましょう。

誤解5 「配偶者控除は、配偶者の収入だけで決まる」

配偶者控除と配偶者特別控除は、社長本人の所得にも条件があります。本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者の収入がいくらであっても受けられません。

給与収入だけなら、本人の給与収入がおよそ1,195万円を超えると対象外です。役員報酬を見直した年は、この線をまたいでいないか確認しておくと安心です。

注意
ここでの金額は所得税の基準です。健康保険・年金の扶養(被扶養者)は別の基準で判定されます。社会保険の扶養については、社会保険労務士や加入先の保険者にご確認ください。

まとめ 今年は「家族の今年の収入」を一度書き出す

令和8年の改正は、12月の年末調整でまとめて反映されます。11月までの毎月の源泉徴収は変わらないため、気づかないまま年末を迎えやすい点に注意が必要です。

配偶者と子どもの「1月〜12月の収入の見込み」を一度書き出しておくと、申告書の記入で迷いません。

家族の収入の線は、社長個人の税金と、会社の役員報酬の決め方の両方に関わります。当事務所では、こうした税務の判断を、会社と社長個人の両面から一緒に考えています(初回お試しの経営戦略会議は無料です)。

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参考:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」/国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/国税庁 タックスアンサーNo.1177「特定親族特別控除」/国税庁「令和8年分 年末調整チェック表」/国税庁「令和8年分年末調整のしかた」

※本記事は2026年10月時点の公表資料に基づいています。根拠:所得税法2条・84条・84条の2・83条(配偶者控除)ほか。個別の状況により取扱いが異なりますので、具体的な判断はご相談ください。

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