「毎月、試算表はもらっている。でも会議で数字の話になると、社長の感想とみんなの『がんばります』で終わってしまう。」
そんな声をよく聞きます。数字で話す会議は、難しい分析から始める必要はありません。社長からよく受ける質問に、順番にお答えします。
この記事のポイント
会議で見る数字は「売上」「粗利率」「固定費」の3つと、月末の預金残高で十分です。30分で、来月やることを1つ決めて終われば、会議は数字で回り始めます。
Q. 会議では、どの数字を見ればいいですか?
A. まずは「売上」「粗利率」「固定費」の3つです。
利益は、この3つの掛け合わせで決まります。売上が増えても、粗利率が下がったり固定費が増えたりすれば、利益は残りません。毎月この3つの変化を確かめるだけで、次に打つ手が見えてきます。
- 売上:先月・前年同月と比べて増えたか、減ったか
- 粗利率:売上のうち、どれだけが手元に残る「稼ぎ」か
- 固定費:人件費・家賃など、売上がなくても出ていくお金
これに月末の預金残高を1行添えると、「利益」と「お金」の両方が見えます。
Q. 数字が多すぎて、どこから話せばいいか分かりません
A. 「前年同月との差」が一番大きい数字から話してください。
試算表を上から全部読むと、それだけで時間が終わります。たとえば次のように並べると、話す場所が自然に決まります。
| 項目 | 前年同月 | 今月 |
|---|---|---|
| 売上 | 1,000万円 | 1,050万円 |
| 粗利率 | 40% | 36% |
| 固定費 | 370万円 | 375万円 |
| 利益 | 30万円 | 3万円 |
※数値は架空の例です。
売上は5%増えたのに、利益はほぼゼロ。原因は粗利率が4ポイント下がったことです。この月の会議は「なぜ粗利率が下がったか」だけを話せば十分です。
Q. 試算表が届くのが遅く、会議に間に合いません
A. 「毎月◯日に締める」と先に決めてしまうのが近道です。
月次の数字は、確定する日を決め、細かい金額は概算で入れておく仕組みにすると早くなります。前々月の数字で話しても、打てる手は限られます。会議の日を先に決め、そこから逆算して締め日を決めると、経理の段取りも変わります。
クラウド会計で預金や売上の明細を自動で取り込んでいれば、締めにかかる日数はぐっと縮められます。
Q. 社員に数字を見せても大丈夫でしょうか?
A. 全部を見せる必要はありません。「自分の仕事で動かせる数字」から共有してください。
営業担当なら売上と粗利率、現場の責任者なら材料費や残業時間。自分の行動と数字のつながりが見えると、会議の発言が「がんばります」から「この取引先の値段を見直します」に変わります。役員報酬など、共有しにくい数字は無理に出さなくてかまいません。
Q. 結局、社長がひとりで話して終わってしまいます
A. 社長は「最後に話す」と決め、会議の終わりに決めることを1つに絞ってください。
社長が先に答えを言うと、社員は考えるのをやめてしまいます。数字を見せたら、まず「なぜだと思う?」と聞く。そして最後に、「来月やること1つ・担当者・期限」を決めて終わります。
翌月の会議は、その1つがどうなったかの確認から始めます。これを続けると、会議の時間は30分ほどでも回るようになります。
数字で話す会議は、立派な資料からではなく、3つの数字と「来月やること1つ」から始まります。まずは次の会議で、前年同月との差が一番大きい数字を1つだけ取り上げてみてください。
当事務所では、こうした問いを決算書と試算表で社長と一緒に考える「経営戦略会議」を行っています(初回お試しは無料です)。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「月次決算の考え方と導入方法について教えてください。」
※本記事は2026年10月時点の公表資料に基づいています。個別の状況により取扱いが異なりますので、具体的な判断はご相談ください。