今年も最低賃金が改定されました。兵庫県は2026年(令和8年)10月1日から時給1,172円です。
この記事では、改定額と最低賃金を守れているかの確認方法を整理します。あわせて、人件費の上昇にどう備えるかについて、当事務所の経営支援と税務支援の観点からお伝えします。
2026年度の最低賃金はいくら?
厚生労働省の発表(令和8年9月3日)によると、令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,177円となりました。昨年度の1,121円から56円の引上げで、目安制度が始まって以来2番目に大きい上げ幅です。
兵庫県
改定前:1,116円
改定後:1,172円(56円の引上げ)
効力発生日:2026年10月1日
近隣・主要都府県
| 都府県 | 改定後 | 引上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|
| 兵庫 | 1,172円 | 56円 | 10月1日 |
| 大阪 | 1,231円 | 54円 | 10月1日 |
| 京都 | 1,180円 | 58円 | 11月16日 |
| 奈良 | 1,107円 | 56円 | 10月4日 |
| 岡山 | 1,104円 | 57円 | 10月2日 |
| 東京 | 1,280円 | 54円 | 10月1日 |
発効日は都道府県ごとに異なり、今年は10月1日から12月2日にかけて順次切り替わります。複数の府県に店舗や事業所がある場合は、事業所ごとに、その所在地の最低賃金と発効日を確認してください。
※兵庫県では、一部の製造業に「特定(産業別)最低賃金」も定められています。地域別と特定の両方が適用される場合は、高い方以上を支払う必要があります。
最低賃金を満たしているか、確認方法
パート・アルバイトだけでなく、月給制の社員さんも対象です。賃金の形態ごとに、次の計算で最低賃金以上かを確認します。
- 時給制:時給 ≧ 最低賃金
- 日給制:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金
- 月給制:月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金
精皆勤手当・通勤手当・家族手当、残業代、賞与などは計算に含めません。
【例】兵庫県・年間休日120日・1日8時間勤務の正社員
1か月の平均所定労働時間:(365日−120日)× 8時間 ÷ 12か月 ≒ 163.3時間
- 月給200,000円 → 200,000 ÷ 163.3 ≒ 1,224円(クリア)
- 月給190,000円 → 190,000 ÷ 163.3 ≒ 1,163円(不足)
月給の社員さんは「時給換算」を意識していないことが多く、気づかないうちに下回っているケースがあります。10月分の給与から、一度チェックしておきましょう。
人件費はどれくらい増える?
例えば、時給がちょうど最低賃金のパートさんが10人、それぞれ月80時間勤務の場合です。
56円 × 80時間 × 10人 = 月44,800円、年間約54万円の増加になります。
さらに、法定福利費の増加や、最低賃金より少し上の時給の方との「差」の調整も必要になります。実際の負担はこれより大きくなるのが普通です。
政府は引き続き最低賃金の引上げを目指しており、来年以降も上がり続ける前提で計画を立てることが大切です。
当事務所の経営支援:「どこまで耐えられるか」を数字で確かめる
最低賃金の引上げは、「払えるかどうか」を感覚で判断すると危険です。当事務所の経営支援(CXOサービス)では、決算書と試算表を使って、社長と一緒に次のような問いに答えを出します。
- 来年も最低賃金が上がったら、利益とお金はどうなるか
- 社員さんの給料を上げ続けるには、粗利をいくら増やす必要があるか
- 値上げはいくらなら必要で、どこまでなら現実的か
- 人を採用してよいか、何人までなら増やせるか
定期の「経営戦略会議」で数字を確かめ、30日ごとに「決めたこと」と「やったこと」を振り返ります。初回お試し戦略会議は無料(約90分・月1社限定)です。他の税理士事務所と顧問契約中の方も、経営支援のみでご利用いただけます。
当事務所の税務支援:賃上げを「税金」と「助成金」で後押し
1. 賃上げ促進税制の活用
給与等の支給額を前年度より増やした中小企業は、増加額の一定割合を法人税(個人事業者は所得税)から控除できます(租税特別措置法第42条の12の5、第10条の5の4)。
- 雇用者全体の給与等支給額が前年度比1.5%以上増加:増加額の15%を税額控除
- 2.5%以上増加:増加額の30%を税額控除
- くるみん・えるぼし認定などによる上乗せあり(控除上限は法人税額等の20%)
- 控除しきれなかった金額は5年間の繰越が可能(赤字の年に賃上げした場合も対象)
最低賃金の引上げで給与総額が増える会社は、要件を満たしているのに使っていないということが少なくありません。なお、教育訓練費に係る上乗せ措置は令和8年度税制改正で見直されていますので、適用年度ごとの確認が必要です。決算前に一緒に判定します。
2. 助成金・補助金の確認
事業場内の最低賃金を引き上げ、あわせて設備投資などで生産性を上げる中小企業向けに、業務改善助成金などの支援策があります。対象となる賃金水準、引上げの時期、申請期間などの要件が細かく決まっています。そのため、「賃上げをしてから知った」では間に合わないことがあります。
3. 月次決算で「早く気づく」
人件費の上昇がどれだけ利益を圧迫しているかは、年1回の決算では遅すぎます。当事務所では、クラウド会計を活用した月次決算の体制づくりを支援し、毎月の数字で早めに手を打てるようにしています。
まとめ
- 兵庫県の最低賃金は2026年10月1日から1,172円(56円増)
- 月給制の社員さんも、時給換算で最低賃金以上か確認する
- 来年以降の引上げも見込んで、値上げ・採用・投資の計画を数字で立てる
- 賃上げ促進税制や助成金で、負担の一部を取り戻す
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※本記事は令和8年10月時点の厚生労働省・兵庫労働局の公表資料および法令に基づいています。税制・助成金の適用可否は個別の状況により異なりますので、具体的な判断はご相談ください。