飲食業

時給が上がった今月、シフト表は去年のままですか?

「時給は上げた。でも、シフトは去年のままなんです」
10月から兵庫県の最低賃金が上がり、アルバイトの時給を見直したお店も多いと思います。

この記事のポイント

時給が上がった分を取り戻す一番の近道は、値上げより先に「時間帯ごとのシフト」を数字で見直すことです。売上の少ない時間に人が多く入っていないかを確かめると、打ち手が見えてきます。

飲食店の現場にいたころ、忙しい時間ほど人が足りず、暇な時間ほど人が余っている日がよくありました。シフトは「いつものメンバー」で組みがちで、時間帯ごとの売上と並べて見ることは、案外ありません。

時給が上がった今こそ、その「いつもの」を一度だけ見直すよい機会です。

時給56円の引上げは、お店にとっていくらか

兵庫県の最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,172円になりました。前年の1,116円から56円の引上げです。

56円と聞くと小さく感じますが、お店全体では「時給の差 × 1か月の総労働時間」で効いてきます。

  • アルバイトの延べ労働時間が月600時間なら、56円 × 600時間 = 月33,600円
  • 1年では約40万円。これに社会保険料など会社負担の費用が加わる場合もあります
  • 最低賃金ちょうどの人だけでなく、ベテランとの差を保つために全体を上げると、さらに増えます

月の来店客数が1,800人なら、1人あたり約19円。お客様1人あたりで考えると、打ち手の大きさが見えやすくなります。

※数値は架空の例です。

値上げの前に、シフト表を時間帯で分けてみる

人件費を「売上の何%」で見るのは大切ですが、月の合計だけでは、どこに手を入れればよいか分かりません。そこで、1日を時間帯で分けて「1時間の人手あたりの売上」を出してみます。

計算は、時間帯の売上 ÷ その時間帯にお店に入っていた人の延べ時間 です。

時間帯 売上/人の延べ時間 1時間の人手あたり売上
ランチ 11〜14時 90,000円/10時間 9,000円
中休み 14〜17時 12,000円/6時間 2,000円
ディナー 17〜22時 150,000円/15時間 10,000円

※数値は架空の例です。

この例では、14〜17時の1時間あたりの売上が、他の時間帯の5分の1ほどです。ここに2人が入りっぱなしなら、時給が上がった影響を一番受けているのはこの時間帯です。

もちろん、中休みには仕込みや片付けという大事な仕事があります。「暇だから削る」ではなく、「その時間に何をしているか」を確かめることが出発点です。

明日からできる3つのこと

1. 1週間だけ、時間帯別の売上を書き出す

POSレジがあれば、時間帯別の売上はたいてい画面で見られます。シフト表の人数と並べて、上の表と同じ計算をしてみてください。

2. 中休みの仕事を「決まった仕事」に変える

  • 仕込み、発注、清掃などを時間帯に割り振り、その時間にやる仕事を決める
  • 仕事が決まると、入る人数・入る時間を短くできるかが見えてくる
  • 逆に、ピークに人が足りずお客様を逃しているなら、そこは増やす判断もあり得ます

3. 足りない分だけ、値上げを考える

シフトを見直しても埋まらない分は、メニューの価格で考えます。先ほどの例なら、お客様1人あたり約19円です。全品を一律に上げるより、よく出るメニューを少しずつ見直す方が、お客様にも伝わりやすくなります。

なお、最低賃金を下回っていないかの確認は、時給の人だけでなく月給の人も対象です。確認の方法は厚生労働省の特設サイトにまとまっています。社会保険の加入や労務の手続きで迷うときは、社会保険労務士にご相談ください。

3分でできるセルフチェック

☐ ① 10月の時給改定で、月の人件費がいくら増えるか言えますか?

☐ ② 1日のうち「1時間の人手あたり売上」が一番低い時間帯はどこですか?

☐ ③ その時間帯に、誰が何の仕事をしているか説明できますか?

答えに詰まったところが、お店の伸びしろです。

時給が上がったときに見直すのは、値段より先にシフト表です。時間帯ごとに数字で見ると、削るところと増やすところの両方が見えてきます。当事務所では、飲食店の数字をfreeeで毎月見える化し、オーナーと一緒に判断を考えています。開業前のご相談にも対応しています。

神戸の飲食店の方へ(freee導入・経営支援)

参考:兵庫労働局「兵庫県最低賃金の改正決定について」
参考:厚生労働省 最低賃金制度「あなたの賃金を比較チェック」

※本記事は2026年10月時点の公表資料に基づいています。個別の状況により取扱いが異なりますので、具体的な判断はご相談ください。

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