その「なんとか」を、今年は11月のうちに数字にしておきませんか。
この記事のポイント
11月に社長が決めておきたいのは、①12月〜1月の「支払いの山」をどう越えるか、②社長個人の共済・iDeCoの掛金を年内にいくら払うか、③年末調整を誰が・いつまでに進めるか、の3つです。12月に入ってからでは、選べる手が少なくなります。
今月の主な期限
11月は大きな申告が少ない月ですが、次のような期限があります。期限そのものより、その手前で「何を決めておくか」が大事です。
| 期限 | 何の期限か | 社長が決めておくこと |
|---|---|---|
| 11月10日(火) | 10月分の給与等から源泉徴収した所得税の納付(原則) | 自社が毎月納付か、半年ごとの「納期の特例」かを確認 |
| 11月16日(月) | 所得税の予定納税の減額申請(対象の方のみ) | 今年の個人の所得が前年より大きく減る見込みか |
| 11月30日(月) | 所得税の予定納税(第2期分)の納付(対象の方のみ) | 納付資金を個人の口座に用意できているか |
| 11月30日(月) | 9月決算法人の法人税等の申告(決算月の末日の翌日から2か月以内) | 納税額と、来期の中間納付の見込み |
※期限は2026年11月時点の国税庁の公表資料に基づきます。期限が土日・祝日に当たる場合は翌日が期限になります。
今月決めること① 12月〜1月の「支払いの山」をどう越えるか
12月と1月は、普段の固定費に加えて、まとまった支払いが重なります。冬の賞与とそれにかかる社会保険料、年末の仕入や外注費、そして源泉所得税の「納期の特例」を受けている会社は、7月〜12月分をまとめて翌年1月20日に納めます。
納期の特例は、給与の支給人員が常時10人未満の会社が使える制度です。毎月の手間は減りますが、そのぶん1月に半年分がまとめて出ていきます。
| 12月〜1月に上乗せで出ていくお金 | 金額 |
|---|---|
| 冬の賞与(社員8名) | 320万円 |
| 賞与にかかる社会保険料(会社負担分) | 50万円 |
| 7〜12月分の源泉所得税(1月20日納付) | 60万円 |
| 年末の仕入・外注の増加分 | 150万円 |
| 合計 | 580万円 |
※数値は架空の例です。
この会社では、毎月の固定費とは別に約580万円が2か月で出ていきます。決め方はシンプルです。
- 12月・1月の「入金予定」と「支払予定」を、月ごとに並べる
- 一番お金が少なくなる日(多くは賞与支給日の直後か1月20日前後)の残高を出す
- その残高が、毎月の固定費1か月分を下回るなら、支払時期の調整や借入の相談を11月中に始める
銀行への相談は、残高に余裕があるうちのほうが話を進めやすくなります。
今月決めること② 社長個人の掛金を、年内にいくら払うか
小規模企業共済とiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引けます。控除できるのはその年に支払った掛金の全額です。つまり、今年の控除に入るのは12月31日までに支払った分です。
小規模企業共済の掛金は、月額1,000円〜70,000円の範囲で500円単位で決められ、増額・減額はそれぞれ月1回まで変更できます。前納(まとめ払い)もでき、1年以内の前納掛金も控除の対象になります。
これらの掛金は社長個人のお金から払うもので、会社の経費にはなりません。また、共済もiDeCoも長く積み立てる前提の制度で、途中でやめたり受け取ったりするときの扱いにはそれぞれ決まりがあります。「今年の税金を減らす」だけで金額を決めず、個人の手元資金や、①の会社の資金繰りと合わせて考えてください。
11月に決めておきたいのは、次の2点です。
- 今年の個人の所得の見込み(役員報酬・賞与・その他の収入)
- そのうえで、掛金を今の金額のままにするか、年内に増やす・前納するか
どちらが合うかは、年齢や受け取りの時期、ほかの収入によって変わります。具体的な判断は個別の状況によります。
今月決めること③ 年末調整を「誰が・いつまでに」進めるか
年末調整は、その年に支払うことが確定した給与の合計をもとに、1年分の所得税を精算する手続きです。対象は「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人で、給与が2,000万円を超える人は対象になりません。
手続き自体は担当者や会計事務所が進めても、社長が決めておくべきことがあります。
- 回収の締め切り日:扶養控除等申告書、基礎控除等の申告書、保険料控除申告書を、いつまでに社員から集めるか
- 精算する給与:12月の給与で精算するか、賞与で精算するか
- 社員への一言:「家族の収入が変わった人、年の途中で入社した人は早めに教えてください」と伝える担当者
書類の回収が遅れると、12月の給与計算に間に合わず、担当者の負担が年末に集中します。締め切り日を決めて、11月中に社員へ伝えておくだけで、12月の慌ただしさがかなり変わります。
3分でできるセルフチェック
☐ ① 12月・1月で、口座残高が一番少なくなる日と金額を言えますか
☐ ② 今年、社長個人の共済・iDeCoの掛金を合計いくら払う予定か決まっていますか
☐ ③ 年末調整の書類を社員から集める締め切り日を、もう伝えましたか
答えに詰まったところが、会社の伸びしろです。
年末の慌ただしさの多くは、11月のうちに数字を見ておくだけで和らぎます。会社のお金と社長個人のお金を、同じテーブルに並べて考えることが出発点です。当事務所では、こうした問いを決算書と試算表で社長と一緒に考える「経営戦略会議」を行っています(初回お試しは無料です)。
参考:国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」
国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税(第2期分)の納税をお忘れなく」
国税庁「C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告」
国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
中小機構「小規模企業共済 掛金について」
国税庁「No.2662 年末調整のしかた」
※本記事は2026年11月時点の公表資料に基づいています。個別の状況により取扱いが異なりますので、具体的な判断はご相談ください。