◆最低賃金 過去最大50円の引き上げ幅!
「最低賃金」とは、国が定めた、企業が従業員に対して支払う賃金の最低基準のことで、
現在の時給は全国平均で「1,004円」となっています。年に1度、例年10月に、都道府県単位で順次改定されます。
厚生労働省は、昨今の物価上昇などを踏まえて、
今年度の時給の全国加重平均については「1,054円」を目安とすることを決めました。
「50円」の引き上げ幅は過去最大となります。
なお、政府は2030年代半ばまでに全国加重平均を「1,500円」にするという目標を掲げています。
各都道府県別に令和6年度の最低賃金時間額を見てみると次の通りです。
東京 1,163円 効力発生日10月1日
愛知 1,077円 効力発生日10月1日
大阪 1,114円 効力発生日10月1日
京都 1,058円 効力発生日10月1日
兵庫 1,052円 効力発生日10月1日
奈良 986円 効力発生日10月1日
福岡 992円 効力発生日10月5日
沖縄 952円 効力発生日10月9日
◆「最低賃金」の対象
「最低賃金」の対象となる賃金は「基本給」や「諸手当」のように、毎月支払われる基本的な賃金です。
たとえば、次の賃金は「最低賃金」から除外します。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
◆「最低賃金」を満たしているかのチェックを忘れずに
賃金支払いには「時給」「日給」「月給」などいくつかのパターンがあります。
それぞれのケースで、「最低賃金」を満たしているかどうかをチェックしましょう。
① 賃金を「時給」で支払っている
「時給≧最低賃金」となっていれば問題ありません。
パートやアルバイト等、非正規雇用の従業員も最低賃金の対象となります。
② 賃金を「日給」で支払っている
日雇いのアルバイト等を雇用している場合が該当します。
「日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金」となっているかを確認します。
③ 賃金を「月給」で支払っている
正規雇用の従業員の多くはこのケースです。
「月給÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金」を計算して、最低賃金を満たしているかを確認します。
基本給以外に諸手当(対象となる)が支給されている場合、
上記の②(日給)または③(月給)では、その諸手当を1日または1か月の「平均所定労働時間」で割った額を基本給に合算し、
それが「最低賃金」を満たしているかどうかを確認します。
「最低賃金」の改定による影響と対策
対策① 改定前に人材を採用する
「最低賃金」の改定にともない、時給アップを行う企業も少なくありません。
すると人材確保は今よりもさらに大変になることが考えられます。
採用に困る状況になる前に、あらかじめ人材を確保しておくことが大切です。
対策② 商品・サービス価格を見直す
「最低賃金」改定にともない時給を上げざるを得ない状況になることが考えられます。
しかし、上昇した人件費分を確保するかは難しい問題です。
そのため、商品やサービスの価格の値上げを検討しましょう。ただ単に価格を上げることは顧客離れにつながりかねませんので注意が必要です。
対策③ 制度や助成金の活用を検討する
厚生労働省のWebサイトには、「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業」が掲載されています。
同じページ内には各都道府県が独自に実施している施策も取りまとめられていますので、
こういった制度や助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。